プロジェクトマネージャー。優れたマネジメントによってチームを成功へと導くエキスパートです。
マネージメントの技術は、様々なところで学ぶことができます。でもマネージャーにとって最も役立つ情報は、「現場で日々精力的に仕事をしてきた人が、何年もかけて実務から学び作り上げてきた、最高の秘訣」の中にあります。
そんなエキスパートが語る最高のエッセイから、マネージャーとして活躍するためのヒントを会得しましょう。
「プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと」とは
プロジェクトマネージャーによるエッセイ集
書籍『プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと』には、世界中のプロジェクトマネージャーたちによる97本のエッセイが詰め込まれています。日本語訳版には、さらに日本人マネージャーが書いた11本もプラスされています。
それらは、プロジェクトを成功に導くマネージャーたちが描く究極のエッセイです。マネージャーが知っておくべき重要なヒントがちりばめられています。
どこからでも気軽に読める
『プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと』にあるエッセイは、いずれも1~2ページで完結しています。
ページの始めから読むのもよいですし、目次を見て気になったエッセイから読み進めることもできます。
エッセイの例
優秀なプログラマーであったあなた。いつか、プロジェクトマネージャーとなってチームを率いるときが来るでしょう。
そんなとき、あなたが優秀であればあるほど、注意すべきポイントがあります。そんなエッセイを3つほどご紹介します。
私たちはスーパーヒーローではありません
優秀なプログラマーであったマネージャーは、時として、自分がすべてを決定し推進できる能力があると盲信しがちです。しかし実際のところ、得意なことももあれば苦手なこともあります。
このエッセイでは、次の3つのテクニックを推奨します。
- あなたの個人的な強みと弱みを知ること
- あなたのチームの個人的な強みと弱みを知ること
- これらの知識で、あなたの弱みを埋めてくれるチームメンバーと補完的な協力関係を築くこと
あなたは、あなたの弱みを補完するチームメンバーに活躍してもらうよう、チームを運営する必要があります。
重要だが緊急ではないこと
プロジェクトマネージャーは、様々なタスクに優先度をつけて対処する必要があります。
タスクには、以下の4種類があります。
- 重要でかつ緊急であること
- 重要だが緊急ではないこと
- 重要ではないが緊急であること
- 重要でも緊急でもないこと
- 「重要でも緊急でもないこと」。これは真っ先に優先度が落ちるでしょう。
- 「重要ではないが緊急であること」。これは、あなたの自由なタイミングで処理できるように手を回せば、優先度を落とせます。
- 「重要でかつ緊急であること」。当然、無視することはできません。しかし、あなたのメインタスクではありません。チームが問題の対策にすべての時間を使っているなら、あなたは根本の問題を修正する必要があります。
「重要だが緊急ではないこと」、これがあなたの仕事の中で最も重要なタスクです。マネージャーは、チームをこのタスクに集中させられる、唯一の立場にいます。
最前線の現場で活躍してきたプログラマーは、緊急のタスクに目を奪われがちです。あなたはマネージャーとして、一歩引いた視線をもって、重要なタスクを見極めましょう。
顧客からの声
マネージャーともなると、顧客と接して様々な調整を行うことになります。
このとき「ソフトウェアは顧客が扱うもの」という、ごく当然の事実に気づきます。当然ではあるのですが、プログラマーの時にはなかなか意識しない事実です。
このエッセイでは、開発の例を挙げています。
- 紙ベースの助成金申請プロセスをオンラインに移行する
- 申請書はデータベースに登録される
- これにより手作業のデータ入力ミスはなくなり、コストは低下し、不便な発想作業もなくせる
開発者は、助成金申請プロセスをどうすればもっと自動化できるかを考えました。
- システムに投入する前に適正基準に照らして見込みのある組織を吟味する
- 締め切りに間に合っているか確認する
- 損益のバランスをとらないと申請書の提出ボタンが有効にならないようにする
結果として、サービス重視の視点を失ったシステムになりました。
あきれたことに、締め切りを過ぎると申請はブロックされ、データをインポートすることすらできなくなったのです。顧客がやりたかったことは、単純にデータをインポートし、正確さを検証し、結果をメールで返すことだけなのに。
必要としていたのは自転車だったのに、(動かない)宇宙船を作ろうとしていたわけです。
以下のことを心がけるよう、このエッセイは述べています。
- 顧客に計画してもらい、徐々に構築していき、テストを繰り返せるようにすること
- タスクを過度に自動化するようアドバイスしたくなるのをこらえること
- ユーザーのニーズを理解することを大事にする開発チームを作ること。
プログラマーの目線だと、高度な技術を駆使し、豊富な機能を搭載したシステムを考えがちです。
でも、顧客にとっては、その高度なシステムが、ガラクタにしか見えない。そんなことが起こり得ます。
顧客を道に迷わせないように、顧客目線での提案を行っていく必要があります。
「自分は完璧ではない」と認めること
書籍『プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと』は、マネージャーによる様々なエッセイが納められています。
これらのエッセイは、マネジメントの技術を教えてくれるものではありませんが、マネージャーに必要なマインドを伝えてくれます。
この中の多くのエッセイで、マネージャーの大事なマインドが語られています。
自分は完璧ではない、ということを認識すること
自分は完璧ではない、だからこそ、
- 判断を誤らないための基準を設ける
- 失敗しないための仕掛けを作る
- チームのメンバーに助けてもらう
といったことが大切になるのです。
まとめ
あなたが今までやってきた、プログラミングのような作業。
それは、あなただけしか出来ないわけではありません、きっとチームのメンバーにも、できるでしょう。
でも、それが出来るようにメンバーを導くことは、きっとあなただけの大事な役割です。
あなたのプロジェクトがうまくいくことを願います。
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